転勤をすることになったものの、子どもの学校の事情があったりして家族で引越すことが難しい場合もあります。そういう時は単身赴任になるわけですが、家族は元の家にそのまま残るので、自分用に今使っている家具を持って行くことはできません。
しかし新居でも生活基盤は作らなければなりませんので、一通りのものを揃えなければいけない上、二重に生活費がかかるのは、経済的にも負担が大きく、大変ですね。そんな時、借りる部屋に最初から家具が付いていれば自分で揃える必要はありません。
家具付き物件のメリット
なるべく経済的、労力的な負担を抑えながら、一時的に借家住まいをする単身のサラリーマンや学生のために、賃貸の部屋に最初からベッドやテーブル、本棚、タンスなどが最初から備えられている「家具付き物件」があります。
同じような立地と間取りなら、家具無しよりも家具付きの物件の方が家賃は割高になります。どのくらいそこに住むかにもよりますが、それでも最初に生活に必要な家具を一度に買い揃えなければならないことを思えば安くつくのではないでしょうか。
期間限定の一人暮らしをする人にはメリットいっぱいですよ。
任期が終われば不要になる家具を買わずに済む
単身赴任の任期を終え、自宅に戻る際には、自分で買った家具のほとんどは不要になり、処分するにも費用が掛かってしまいます。
オークションや中古ショップで売ろうにも都合よく買い手が現れるとは限りませんし、第一、手間がかかります。
荷物が少ないので引越し料金も安く済む
引越しの時、ベッドやソファなどの大きい家具を運ぶ必要がないため、小さいトラックで十分ですし、引越し作業員の人数も少なく済むので、引越しに掛かる費用が安く抑えられます。
また、家具を分解したり梱包したりもしなくてよいので、時間も手間もあまりかかりません。
自分で家具を買い揃える煩わしさがない
異動を命じられた後は、関係先の挨拶回りや残務整理で忙しく、短期間のうちに引き継ぎも済ませなければなりません。とてもじゃありませんが、引越し先の家具のことまで頭が回らず、休日にはへとへとで家具を買いに行く気力すらないかもしれません。
そもそも、転勤前に買ったら遠距離の配送料金だけでもばかになりません。かといって異動先で買おうにも、右も左も分からない場所で、一人で生活に必要な物を一気に全て買い揃えるのは大変でしょう。
その点、家具付き物件なら、引越したその日から、不自由のない暮らしができるのはありがたいですね。
家具だけじゃない、中にはこんな物件も
家族と離れて住む単身赴任生活をもっと楽しめる、こんな物件もあります。あまりにも快適なので、中には「このまま一人でもいい」なんてご主人もいるとか、いないとか。
家電
家具の他に照明器具はもちろんのこと、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど一通りのものが揃っている「家具・家電付き」の物件もあります。身一つで引越してそのまま生活できてしまうのだから、忙しい人にはぴったりでしょう。
一人暮らし用の電化製品は小型のものが多く、せっかく最新式のものを買い揃えても、自宅に戻ったら使わないことが多いのでもったいないですよね。子供が自立して一人暮らしをする時のためにと取っておいても、結局は古くなってしまい、買い直しになることも多いです。
食事
今までは奥様が栄養バランスを考えた手作りの食事で健康面も心配のなかったご主人でも、単身赴任生活では、食生活の乱れが気がかりですよね。
ところが、最近ではそんな単身者用の賃貸マンションで管理員が常駐し、朝食と夕食を提供してくれるサービスがある物件もでてきました。広い食堂で食べるも良し、自室で食べるも良し。至れり尽くせりのサービスですね。
大浴場
銭湯のような大きな浴槽と洗い場のある大浴場がある物件もあります。
仕事で疲れた体や手足を伸ばして悠々と寛ぐことができる上、単身者同士の社交場となり、家族と離れている寂しさも癒せそうです。
モデルルームのような高級物件も
単身者用に特化した高級賃貸マンションでは、リストの中から家具や家電を自由にセレクトできるタイプの物件もあります。中には、ジムや居住者専用のプールがあったり、豪華な北欧家具で統一されたホテルのスイートルームのような駅チカの賃貸タワーマンションもあります。
会社が家賃を負担してくれるなら一度は住んでみたいですね。
こんな人が家具付き物件に向いています
家具付き物件に向いているのは、自宅があり、一人暮らしが期間限定だとわかっている人です。この先ずっと実家に戻る予定がないという人なら、少しずつ自分が気に入った物を買い揃えて、長く愛用した方が生活も楽しいでしょう。
しかし、期限付きで暮らし、その後、自宅に戻る予定の人には、家具付きの部屋が頼りになります。
短期だからと割り切ることができる人
備え付けの家具が多少使い勝手が悪くても、短期だから我慢できる人や、一生ここに住むわけではない、少しの間我慢をすれば良いこと、と切り替えて考えられる人に向いています。
使えれば何でもいい、とにかく節約
モノに対するこだわりが少ないタイプ。単身赴任生活が終われば不要になってしまうものにお金をかけたくない、使えれば文句は言わない、二重生活になるのだからとにかく節約が第一、という人にはうってつけです。
トラブルにならないよう気をつけたい言葉の違い
入居時にエアコンが付いている物件は多く見かけますね。これは、エアコンと室外機があらかじめ部屋の設備として備え付けられているものです。家主である大家さんの持ち物なので、勝手に買い替えたり、脱着してはいけません。
では、家具の場合は、どうなっているのでしょうか。
「設備」なら家主負担で交換修理
入居者募集の要項や賃貸契約書をよく確認しましょう。備え付けの家具や家電が「設備」となっていますか。
それなら、その部屋のガス給湯器や、エアコンなどと同じ扱いで、経年劣化や通常使用の場合の故障や交換などの修理代や買い替え費用は、家主の負担となります。
「貸与」なら借り主負担
たとえば備え付けの家具や家電が「貸与」となっている場合、解釈が異なるので注意が必要です。
賃貸契約書で詳しく記載してあればよいのですが、それでも文章上ではニュアンスがうまく伝わらないことがあります。借り主、貸し主がお互いにとって都合の良い解釈をしている場合が多く、実際に修理になった時に言い分が違い、トラブルになったりすることがあります。
大体は「貸与」の場合は、使用者が修理代を払うことが多いです。
たとえば、買い替えになった場合の新規購入の際の費用は、全額負担なのか、折半なのか、家主の一存によるところが大きいです。不動産仲介会社は間に立って交渉はしてくれるかもしれませんが、長く付き合いのある家主側に分があるのは仕方ありませんね。
事前に、文章だけでなく、疑問があれば口頭で説明してもらうようにしましょう。
前の入居者が置いて行った「残置物」の場合は
もう一つ、家主が用意したものではなく、前に住んでいた人が引越しの際に持って行かなかった家具や家電が「残置物」として残っている場合もあります。
どこからどこまでが家主の持ち物である「設備」で、どれが「残置物」であるかを明確にしてもらいましょう。それぞれの、取り決めについてもハッキリさせておいた方が、故障の際の修理費や処分費用など、後々のトラブルを避けることになります。
良い面だけではない、意外な落とし穴
家具付きや家電付きの物件の背景には実はそれなりの理由があります。それを理解した上で納得して住むことができれば、こんなに便利な物件はありません。ただし、中には、こういった物件には向いていない人もいるのです。
物へのこだわりがある
自分の気に入った物だけに囲まれて暮らしたい人は、物への興味やこだわりが人一倍強い傾向があります。
自分の趣味に合わない備え付けの家具に囲まれては、精神的に安定した生活が送れないかもしれません。
他人が使ったものに抵抗がある
キレイ好きで潔癖症の人はもしかしたら抵抗があるかもしれません。前に住んでいた人がどのような生活をし、どう使っていたか分からないからです。
ただし、シティホテルは次々と人が入れ替わって宿泊しますが、清潔に保たれていますし、そう抵抗感はありませんよね。自分で一度納得のいくまで掃除したり磨いたり除菌すれば案外大丈夫かもしれません。
物件そのものの質にこだわる
建物が古い、立地が悪い、間取りが使いにくいなど、何らかの理由でなかなか借り手がつかず、空き家の状態が長い物件があります。
そんな時に、不動産仲介会社が家主に提案して、家具や家電を一式備え付け、「家具付き物件」としてアピールすることにより、入居率を上げることに成功している場合があります。
そういう物件は駅から遠いなど、多少難がある物件が多いようですが、中には家具無しと変わらない家賃で家具や家電が付いている狙い目の物件もあります。
まとめ
引越しは、物があればあるほど料金が高くなります。(詳細については、「引越し料金は荷物の量・距離・日時の3つで決まる!」の記事を参考にしてください。)
また、ベッドや大型の机や本棚はそれだけでトラックのスペースを占領しますし、家具の分解や組み立ても手間がかかるものです。
それが、家具付きの部屋だと、引越し料金も安く済み、引越してすぐ普段の生活がスタートできるという点で、単身者にとってはとてもラクです。
全部の家具を買い揃え、搬入し、退去時に処分することを思えば、かなりの金額を浮かすことができるのではないでしょうか。
その浮いたお金で、ソファだけは自分の好みに合った物を使いたいという一点豪華主義にするのも良いですし、やり方次第で十分満足した生活が送れるのではないでしょうか。