身近な人が引越しをする時には何かお祝いを渡すのが、日本の古くからの風習です。ただ、頻繁にあるものでもないので、引越し祝いに何をあげればいいのか、どんな決まりごとがあるのか、分からない人も多いでしょう。
そんな引越し祝いのマナーとタブーについて紹介します。
引越し祝いについての基本的な知識
引越し祝いはどんな時に渡せばいいのか、改めて聞かれるとなかなかはっきり答えられないものです。引越し祝いといわれても何をどうしていいのか分からないという人は、まずは基本的な知識から押さえていきましょう。
引越し祝いとは
日本では新しく家を建てた時に贈る「新築祝い」というものがあります。家のお披露目として宴会を開いたり、お祝いを持って駆けつけたりといった形で、一般的な祝い事として定着しています。
最近は分譲マンションに住む人も多いため、新しく「建てる」という意味合いは薄れますが、新しい生活を始める人へのお祝いの気持ちを込めて、「引越し祝い」という形で贈り物をします。
引越し祝いをあげる相手は
引越しをする理由は、結婚や出産、進学、就職、栄転、開業などのおめでたい事情から、単なる住み替えというケースもあります。
どのケースでも引越し祝いをあげてはいけないことはないですが、一般的には、渡す相手は親しい人かお世話になった人に限られます。家族や友人、親しい同僚や直属の上司などがそれにあたるでしょう。
渡すタイミングはいつ?
引越し祝いだからといって、引越しでバタバタしている当日に渡すのは、相手にも迷惑をかけるかもしれません。ただ、引越し日からあまり時間が経ちすぎても良くないので、渡すタイミングは1〜2ヶ月以内が目安です。
引越し先が近い場合は、改めて新居にお呼ばれした時に渡せばOKです。遠方へ引越しする人には、事前に渡す方が良いです。引越し前は何かと時間もないので、1〜2週間前を目安に荷物にならないものを渡すようにしましょう。
引越し祝いを現金で渡すときのマナー
引越し祝いを贈る場合には、無難に現金を包むのがお互いに気を使わずにすみます。ただ現金で渡すにしても、いくら包めば良いのか迷いますよね。
付き合いの深さにもよりますが、一般的な引越し祝いの相場金額とマナーについて紹介します。
引越し祝いの相場と金額
結婚祝いと違って、縁起の悪い金額というものはありません。あくまでお祝いの気持ちを伝えるものなので、金額自体もあまり気にする必要はありません。一般的な目安として、相場は次の通りです。
近所の人の場合
相場は3,000円〜5,000円ほどですが、あまり高額になってはかえって気を使わせることになります。気を使わせない程度の金額として1,000円〜2,000円くらいの粗品を贈ることが多いです。
近所の人の引越しでは、よほど親しい人にしか渡さないというのも一つでしょう。
友人、職場の同僚の場合
5,000円〜10,000円ほどが相場です。親しい付き合いの場合には、20,000円〜30,000円というケースもあります。引越し祝いを贈ろうとしている他の人と相談して、金額をそろえるのもアリです。
家族、親戚の場合
10,000円〜30,000円が相場とされています。相手との付き合いや新生活を応援したい気持ちや事情があれば、50,000円〜100,000円を包むこともあるでしょう。
お祝いを入れるのし袋のマナー
引越し祝いを入れるのし袋には、紅白で蝶結びの水引を使ったものを選びましょう。のし紙の表書きは、引越し先や相手によって変える必要があります。
- 新築祝い: 新築で物件を購入した場合
- 引越し祝い: 中古で物件を購入した場合
- 御餞別: 賃貸の借り替えの時や、近所の人の引越しの場合
判断が難しい時は、「御祝」だけでも大丈夫です。
引越し祝いに何か贈りたいときのマナーとタブー
せっかくだから記念になるものを贈りたいと思っても、相手の趣味もあるので難しいものです。引越し祝いには定番アイテムがありますので、その中から選ぶのも良いでしょう。
一方で、引越し祝いに適さない物もあります。引越し祝いを物で贈る場合のマナーとタブーを覚えておきましょう。
引越し祝いの定番アイテム
引越し祝いの定番アイテムとして「観葉植物」があります。徳川家康が江戸城へ移る時に家臣から「万年青(おもと)」という植物を贈られ、それから安泰な世が続いたことから、定番アイテムとして好まれるようになりました。
定番アイテムとしてはこのほか、消耗品や気軽に使える実用品、主張しすぎないインテリアなどが人気です。次のようなものを参考にしてみましょう。
- 花
- 酒
- お菓子や調味料のセット
- 置き時計
- タオル
- 傘立て
- ティッシュケース
数が多すぎたり、好みやセンスに合わなかったりする物は、もらっても置き場所に困るのも確かです。心配なら直接相手に聞くのもいいと思います。好きなものを選んでもらうカタログギフトも人気です。
引越し祝いに贈る物のタブー
相手の趣味や好みに関するプレゼントは喜ばれますが、選ぶときには注意しなければならないことがいくつかあります。引越し祝いでは贈る物の種類に関わらず、タブーとなる「色」や「イメージ」があるので覚えておきましょう。
タブー1. 火をイメージするアイテムはNG
火にまつわるものは、新居に火災を招くという意味となるので避けるべきです。タバコを吸う人にライターや灰皿などを贈ることもありますが、引越し祝いではやめておきましょう。また、火を連想する「赤色」のものもNGです。
タブー2. 撃たれて落ちる「鳥」も避けるべき
「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉もあるように、鳥をイメージしたものは「撃たれて落ちる」イメージを持たれます。そのため、新生活での繁栄を妨げるものとして避けられます。
インテリアとしての絵画や置物を贈る場合、「鳥」を題材にしたものはNGです。タオルやゴルフグッズなど実用品の図柄も「鳥」を使ったものは避けましょう。
タブー3. 上司に「足で踏みつける」贈り物はダメ
スリッパや靴下なども実用品として無難なチョイスですが、上司相手では「あなたを踏み台にします」という意味に取られるので、避けた方が良いとされています。
引越し祝いは、純粋に親しい相手に対する気持ちの表れとして渡すものです。気持ちがこもっていれば、金額や贈るものにこだわる必要はありません。
ただ、気持ちよく相手に受け取ってもらえるよう、タブーとなる贈り物だけは避けるようにしましょう。