引越しをするとき、荷解きの前に拭き掃除を行っておけば、気持ちよく引越しすることができます。
できれば転居前に新居に行って何もない状態で掃除をしておけば、より快適な新生活を始めることができますし、次に引越しする時のトラブルも回避できます。引越し前に行っておきたい新居の清掃のポイントを紹介します。
何もない状態で掃除ができるのは引越し前だけ
引越しで自分の家具が持ち込まれた後や、ダンボールなどを運び込んでしまってからでは十分な掃除はできません。
特に台所やリビングなど一度家具を置いてしまうと、動かすのが大変な場所もあります。何もない引越し前だからこそできる掃除をしておきましょう。
フローリングや畳を中心に拭き掃除を
部屋の清掃や台所の油汚れ、お風呂の水アカなどは入居前に業者がハウスクリーニングを行っていることがほとんどです。とはいえ、清掃してから時間が経てばホコリもたまってしまいます。
ハウスクリーニングも隅々まで完全にキレイにできているとは限らないので、簡単な拭き掃除で汚れを落としていきましょう。掃除は高い位置から行うのが基本です。次のような手順で掃除を行ってください。
1. 窓や換気口を空けて風を通す
風が強い時や天気、外の空気が悪い時は無理に窓を開けないようにしてください。
2. 天井や照明器具、壁のホコリを落とす
ハタキや乾拭き用のワイパーでホコリや汚れを払い落しましょう。吸い込まないようにマスクを忘れずに。
3. フローリングや畳の汚れを拭き取る
急いで取りかかると舞ったホコリが後から積もってしまいます。他の場所を掃除するなど時間を置いてから拭き掃除をしましょう。フローリングや畳は目に沿って掃除するのが基本です。
ワイパーは便利ですがささくれがあると引っかかりますし、視点も高くなるので、できれば雑巾がけをした方が汚れなども見つけやすいです。
台所やお風呂場、洗濯パンもしっかりチェック
日常的に使用する水回りは水アカやカビ、水漏れによるシミなどができやすい場所です。また、排水管のつまりや汚れが残っている場合もあるので、水の流れ方や水の詰まりをチェックしてください。
ベランダの排水口は見逃しやすいので忘れないように。洗濯機を置く洗濯パンはめったに掃除できない場所なので、この機会に目に見える汚れや排水口周りを掃除しておいた方が良いでしょう。
できる範囲でカビや防虫対策を
生活しているとどうしてもできてしまう「カビ」や、どこからか入りこむ「虫」は快適な生活を脅かすイヤな存在ですよね。
カビ対策や防虫対策は引越し前に限らず、定期的に実施しておきたいものです。家具を配置すると隠れてしまう場所も多いので、引越し前にカビや虫の原因となる場所をしっかりチェックして掃除しておきましょう。
カビの発生しやすいポイント
水を使う水回りは当然として、湿気が溜まりやすい押し入れや結露の起きる窓際はカビが発生しやすいところです。
床板や窓の下など、シミのように色が変わっているところがあれば要注意。カビは病気の原因にもなるので日頃から繁殖させないようにしてください。
自分でできるカビ取りの方法を紹介します。
消毒用エタノールなどで殺菌する
カビの繁殖している場所や繁殖していそうな場所を殺菌しましょう。無水エタノールは濃すぎるので80%に薄めて使います。逆性せっけんを200倍に薄めたものもおすすめです。
漂白剤でカビ汚れを取る
お風呂用の強力なタイプは逆にシミになることもあります。台所用の塩素系漂白剤を使いましょう。
壁材や床材によっては、エタノールや漂白剤によって、色落ちやシミができることもあるので、目立たないところで確認してから使うようにして下さい。
一度カビが生えた場所は放っておけばまたカビが生えてきます。繁殖させないためにも定期的な換気で湿気をためないようにして、なるべくこまめに拭き掃除をするようにしましょう。
防虫対策のポイント
家の中で虫が繁殖するのは、壁や床材のちょっとした穴や割れ目などです。パッキンやシーリングのはがれた部分にも住みつきます。
ホコリや水気を栄養源にして小さな虫が発生すれば、クモなどの補食虫が繁殖します。家具を置く前に壁と床面の隙間などをチェックして、必要があればパテなどで埋めてしまうとよいでしょう。
もし噴霧式の殺虫剤を撒くなら引越し前にした方が楽です。また、窓のガタツキや網戸の穴やほつれから虫が入り込むこともあります。あまりひどい場合は不動産会社に連絡して対応してもらってください。
引越し前の掃除には道具の持参を
当たり前のことですが転居先には掃除道具はありません。必要なものは持参していく必要があります。せっかく引越し先に行ったのに掃除道具が足らなかったということがないように、必要な掃除道具はリストアップして忘れないようにしましょう。
揃えておくべき掃除道具
専門業者が揃えるような特別な掃除道具は必要ありませんが、ある程度は揃えておきたいものです。最低限揃えておきたい掃除道具を紹介します。
- 雑巾(捨ててもよいタオルなどで十分な量を)
- 乾式、湿式のワイパー
- バケツ
- ゴミ袋
- ゴム手袋
次のような掃除道具もあると便利です。洗剤などは使い方を間違えると逆にシミなどの原因になりますので、使用上の注意をよく確認して使ってください。
- マイクロスポンジ
- ホウキ、ちり取り
- デッキブラシ(柄のないものでOK)
- 中性洗剤
- カビ取り剤
- 配管の詰まり除去の薬剤
水が使えない時の清掃方法
引越し前の段階ではガス、電気、水道が使えないこともあります。洗ってすすぐ必要のある雑巾が使えない時は、湿式のワイパーやウエットティッシュなどが便利です。
使いすぎるとボロボロになって繊維が残ってしまうので、多めに持っていってこまめに交換しましょう。
お掃除し忘れがちな場所
普段掃除をする機会が少ないのでどうしても忘れがちになってしまいますが、荷物のない引越し前に掃除しておきたい場所があります。
押し入れやクローゼットの中
収納棚や布団、普段使わないものなどを置いてしまうと、なかなか掃除する機会がありません。湿気やカビなどを確認しながら掃除をしておきましょう。
台所の流しや洗面台の下
調理器具や日用品で埋まりがちな台所の流しや洗面台の下の収納部分も掃除をし忘れがちです。水漏れやカビ、サビなどが起こりやすい場所なので、チェックしながら軽く掃除しておきましょう。
トイレの周り
前の住人が使っていたトイレは気持ちが悪いので掃除するとは思いますが、トイレの汚れは周りの床や壁にもついています。気になる人はアルコールスプレーなど消毒用のグッズを用意して、あらかじめ消毒しておきましょう。引越し前なので消毒の臭いなども気になりません。
転居前の掃除を行うタイミング
引越し前に掃除ができるのは部屋のカギを受け取ってからになります。不動産会社との契約が済んでいればカギはもらえますが、前の住人の退去のタイミングなどもあるので自分の都合と合わない場合もあります。
また天気の兼ね合いもあるので、ある程度幅を持って掃除の日取りを考えられればベストです。
前住人の退去とハウスクリーニング
賃貸物件の場合、前の住人が退去した後にハウスクリーニングや鍵の交換を行って、次の住人に引き渡します。
いつから入居できるかは契約時に説明がありますので、引越し前の掃除日を計算して引越しの日程を調整するか、入居前に掃除のために入れる日があるかどうかを不動産会社に確認しておきましょう。
部屋の換気と乾燥のために晴れた日がおすすめ
長く使わない部屋は空気がこもって傷みやすくなってしまいます。管理会社も定期的に換気は行っていますが、できれば引越し前にも一度換気と掃除をしておきたいものです。
水拭き後に乾かすためにも晴れた日を選んで掃除をしてください。風の強い日は逆にホコリが入ったり、ホコリが舞ったりすることもありますのでできれば避けた方が良いです。
メモとカメラをお忘れなく
賃貸で借りた部屋は返す時に「元の状態」に戻して返すことが慣例になっています。元の状態のことを「原状回復」といいますが、元の状態が分からなければ前からあったキズや部屋の傷みも自分のせいにされる可能性があります。
次に引越しする時のことを考えて、掃除がてら引越し前にメモとカメラで気になる部分は残しておきましょう。
原状回復で損しないために
原状回復といっても経年劣化で傷んだものまでは回復させる必要はありません。
- 家具を引きずったり倒してできたキズ
- 子供の落書き
- 食べ物などをこぼしてできた床や壁のシミ
こうした自分の責任で発生した汚れやキズを修復するために、必要となった費用は負担しなければいけません。何かあれば掃除や修繕の費用は敷金から差し引かれます。
引越す前の状態をカメラで撮影して印刷し、日付と場所、状況をメモした物を一緒にファイリングしておくと、次に引越す時のトラブル回避に役立ちます。掃除のついでにチェックしてください。
動かせるものは動かしてチェック
目で見えるものだけが家の傷みではありません。ドアや窓など開閉するものは無理な力がかかると歪んで動きが悪くなります。
掃除の時には部屋にある「動くもの」をすべて動かし、動作不良がないかどうか確認し、不具合があれば事前に不動産会社に報告して修理してもらうか、せめて記録に残しておいてもらいましょう。
引越し当日にこれだけのことをしようと思ってもなかなかできません。気持ちよく新生活を始めるためにも、引越し前の清掃とチェックはポイントを押さえてきっちりやっておきましょう。
引越しが決まったら、必要な掃除道具とカメラ、メモを用意して備えるくらいの心構えでいてください。