家賃だけでは決められない!礼金・敷金・仲介料は?

「敷金」「礼金」「仲介手数料」など、賃貸物件を契約する時には、初期費用としてさまざまな費用がかかってきます。

これらを分からないまま契約して後で後悔するなんてことにならないよう、最低限知っておくべきことをまとめました。退去時に損をしないように正しい知識を持って対策しましょう。

家賃だけじゃなかった!こんなにかかる初期費用

引越しをして新居に住む前に、賃貸借契約を交わします。よく「敷金2、礼金1、仲介手数料1」なんて聞きますが、これはどういう意味でしょうか。

これはたとえば家賃が7万円の物件の場合、敷金が家賃の2か月分の14万円、礼金が1か月分の7万円、仲介手数料が同じく7万円、当月分の家賃7万円、翌月の前家賃として7万円、つまり総額で42万円を契約時に支払うという意味です。

これにプラスして引越し費用もありますから、かなりの出費になります。まずはこれを覚悟しましょう。こんなにかかる初期費用ですが、中には後から取り戻せるお金もあります。

1. 「礼金」の意味とは?誰に払うの?

「礼金」とは借りる側が貸し主の大家さんに対して、「部屋を貸して下さり、ありがとうございます」というお礼の意味合いで、賃貸物件を契約する時に一度だけ支払うものです。

昔は進学や就職のため、地方から上京する子どもと親が連れ立って、下宿やアパートなどを管理する大家さんに、「これからよろしくお願いします。」と菓子折りを持って挨拶に出向きました。

しかし昨今では、大家さんは不動産会社に募集から契約、入居から退去までの一連の賃貸借の管理を依頼しているため、借り主と貸し主が直接顔を合わせることも少なくなりました。そのため「礼金」として、契約時に不動産会社を介して家賃の1か月や2か月相当分を挨拶代わりとして「大家さんに」支払うようになりました。礼金は主に関東地方を中心に東日本でよく見られる慣習です。

2. 「敷金」は退去する際に返ってくる?

「敷金」とは部屋を借りる側が、大家さんに安心料として預けるお金です。関西方面では「保証金」と呼ばれます。これも賃貸物件を契約する時に家賃の1か月や2か月に相当する額を、最初の一度だけ支払います。

大家さんにしてみれば、自分の所有する不動産をよく知らない第三者に貸すわけで、その人がどのような住み方をするか、本当に家賃を滞納せずに支払ってくれるのか、調べようがありません。そのため、最初に「敷金」として家賃数か月分の金額を預かっておき、万一、家賃の支払いが滞った時に、敷金から差し引いて家賃に充当することができます。

そして、入居者が退去する際に、原状回復の修繕費用として使われることになります。

原状回復とは、最初に部屋を借りた時の状態まできれいに掃除し、壁紙を剥がしてしまったり、クローゼットの扉を壊して締められなくなった等の、自然損耗ではない不注意による設備の傷みを修繕して元に戻すことです。

たとえば、ペット可物件では、敷金が家賃の3か月から4か月分かかる場合もあり、通常の使用より割高に設定されることがあります。

ただし、目立つ傷みもなく、退去までに自分できれいに掃除できてさえいれば、敷金はある程度戻ってくる可能性が高いです。

3. 「仲介手数料」の上限金額は法律で決められている

「仲介手数料」とは借り主と貸し主の間に入って、物件を探してくれたり、内見の案内をしたり、諸々手続きをしてくれる不動産会社に対して支払うお金です。

実は、この「仲介手数料」は国土交通省の定める宅地建物取引業法で、支払うべく上限金額が決められています。これも家賃を基準として算出され、1か月分を超える請求はしてはいけないことになっています。

初期費用が安くすむ「ゼロゼロ物件」は本当にお得?

「敷金ゼロ、礼金ゼロ」や「仲介手数料ゼロ円」という広告を見たことがありませんか?最近では、家賃の他にかかる初期費用が無料になるという敷金や礼金が0(ゼロ)円の物件が登場しています。

引越しでは何かとお金がかかるため、少しでも安くお得に部屋を借りようという趣旨で「ゼロゼロ物件」を目玉にする賃貸情報誌や不動産賃貸サイトなどを多く見かけるようになりました。

「ゼロゼロ物件」のからくり

最初は敷金も礼金も家賃の何か月分と提示して広告を出しても、なかなか借り手がつかず、入居可能日となってから数か月もそのままだと、あたかも人気のない物件だと思われるだけでなく、過去に何かあったのでは、などと悪い憶測を呼ぶこともあります。

そんな事態にならないよう、借り主が現れない物件は敷金や礼金を徐々に値下げして様子を見ることになります。それでも問い合わせもないような、魅力的でない物件は、初期費用を抑え「ゼロゼロ物件」として入居の回転率を上げようとします。

大家さんにとっても、不動産屋にとっても、空き家のまま置いておいて悪い噂がたつよりは、その方が利益に繋がるからです。

また、敷金と礼金を無料にする代わりに、家賃に少し上乗せしている場合もあります。そして、何より気をつけたいのは、契約時の敷金が無料であっても、退去時には、原状回復のための修繕費を払う必要が出てくるケースがほとんどだということです。

つまり、入居時に敷金として初期費用でまとまったお金を払わなくても済みますが、その代わり退去時にはある程度の修繕費用が必要になってきます。先に払うか後に払うかの違いだけですね。

郷に入っては郷に従え、関東と関西の違い

東日本に住んでいる人が西日本に引っ越すことになり、賃貸物件の情報を見ると、違和感を感じることがあります。

まず、「保証金」、「敷引き」の見慣れない文字。そして、敷金や礼金が家賃を基準にせずに、5万円とか10万円などのキリの良い数字になっていることもあります。

そして、敷金は無料でも、礼金が家賃3か月分になっていたり、逆に、店舗付き住宅などでは敷金が家賃5か月分くらいの高額になっていたりします。敷金を無料としていても、その他の費用として定額クリーニング費5万円となっていることもあります。

関東では常識と思っていたことも、ところ変われば全く通用しません。エスカレーターでも、左側に立って右側を急ぐ人用に空けておくのは関東です。逆側に立つのが関西です。言葉の違いだけでなく、色々な面で文化の違いを感じることでしょう。

「保証金」と「敷引き」、とまどう商習慣

関西で今でも賃貸借時に使われることがある「保証金」は、関東の「敷金」にあたります。

その中から、退去時に一定額を差し引く「敷引き」という制度は、京都と滋賀を除く関西を中心に西日本で広く見られる慣習でした。2010年以降は保証金ありの物件が激減してきてはいますが、大家さんの方針によるものか、昔からの慣習を受け継ぐ物件も少なからず存在します。

東日本から西日本に、または逆の場合の長距離の引越しでは、地方特有の商習慣の違いがあるので、分からないことがあれば必ず事前に聞いておきましょう。

ローカルルール統一の動き

このような地方特有のルールの認識の違いが元で、訴訟沙汰になり裁判で決着を付けることは過去に何度もありました。控訴するたびに二転三転する判例もあり、いかに賃貸借制度が分かりにくいかという表れでもあります。

最近はテレビやインターネットなどで、どこにいても同じ情報を瞬時に知ることができるようになりました。そこで地方の格差はかなりなくなり、不動産業でも同様に、分かりにくい制度は廃止して関東で一般的である「敷金・礼金」制度へと統一しているところが多いようです。

ただ、昔ながらのやり方を通しているケースもあり、一応地方ごとの基本的なところをおさえておいたほうがトラブルの防止になるでしょう。

まとめ

初期費用の高さは引越しを諦める大きな理由の一つになっていると思います。そういう人に向けて初期費用を安くし、その代わりに月々の家賃を高めに設定しているような物件もあります。

新居を決める際には礼金や敷金の意味をよく理解し、どのくらい住む予定なのか、家賃を含めたトータルの金額で考える必要がありそうです。

そして、原状回復にかかる修繕費用をなるべく安く抑え、敷金から返還される額を少しでも多くするためには、普段からきれいにしておくことが「お得に住む」秘訣といえるのではないでしょうか。なお、詳細については、退去時の現状回復に関する記事も参考にしてください。