こんなはずでは!?見せる収納の落とし穴

「見せる収納」をどうしてもやってみたい!一人暮らしを始めたら、誰でも一度は思うことではないでしょうか。おしゃれなショップのようにディスプレイされた服や、人気のカフェのように陳列されたお揃いの食器。

憧れますよね。

でも、その憧れを実現する前に、本当に自分が見せる収納に向いているのか、考えてみましょう。

「見せる収納はお金がかかる」

まず大前提として、見せる収納はお金がかかります。当然ですよね。食器や雑貨、文房具、服など普段使いする物を収納している間もインテリアにしてしまうのですから、それなりのセンスと美しいフォルム、そしてなによりも統一感が重要になります。

普段着にしているでろでろに袖口の伸びたカーディガンなんてかけていたら台無しです。雑貨やキッチングッズにしても、ちょっと100円ショップの物は置きたくないなあ、なんて思っちゃうかもしれません。

「普段使い用に安い時に安い物を買っておこう」ができなくなるため、持ち物一つひとつにかける単価が跳ね上がることは覚悟してください。

キッチンをカフェ風にしてしまうと

最近ちょっとした「カフェ部屋ブーム」になっています。インテリア系の雑誌でもしょっちゅうカフェ風のキッチンインテリアにするためのコツが特集されているので、目にしたことがあるという人も多いでしょう。

お気に入りの食器を扉のついた食器棚にしまうのではなく、むき出しのまま棚に並べたり、レードルやフライ返しからフライパンまで壁にかけてしまったり、お揃いの瓶に入れたスパイス類をずらりと並べてみたり、一見おしゃれなだけでなく、一々戸棚から取りだすことなくすぐに使えるので機能的に感じられますよね。

でも、実際にやってみるとなかなかこれが曲者なんです。

自分で料理はほとんどしない、キッチンもキッチングッズもオーナメント、観賞用と割り切っているという人ならいいのですが、カフェ風のインテリアをやりたいという人なら、たいてい料理しますよね。毎日料理をするたびにたとえ換気扇をつけていたとしても、細かい油や汚れはキッチン内に飛び散っています。

本職のカフェは食器の回転が早いため、汚れや埃が付着する前に使用して洗うからあれでいいのであって、一人暮らしではそんなに毎食食器は使わないですよね。ということはむき出しで置いてある食器類は使ってもいないのにいつの間にか薄汚れてくるということです。

レンジのそばにかけてあるフライパンや調理器具は飛び散る油の直撃をもっと近距離で受けることになるので、特別きれい好きではない人でも、たとえ使っていなくても週に一度は全部ざらっとシンクにぶちまけて洗いたくなると思います。

さらに、もっと恐ろしいことを言ってしまえば、あなたがいない時や寝ている間にあの黒い恐怖ことゴキブリが大切な食器の上を歩いていないとは言い切れないですよね。

掃除が大変

実はキッチンで料理した際の細かい油の微粒子は部屋中に飛び散っています。ということは、おしゃれにピアスツリーに陳列してあるアクセサリー類やショップ風にかけてあるお気に入りの服、大切な本などにも日々細かい油の微粒子が付着しています。

さらにそこに埃がつくと、それはこびりつき汚れとなり、ある日気がついたら見たことのなかった黒いシミが点々とできているかもしれません。また、部屋で魚でも焼こうものなら、魚の臭いが大切な服につかないとも限りませんね。

そんな悲劇を防ぐためには、毎日の掃除は欠かせません。でもこれがまた面倒なんです。一々置いてある物をずらして下を拭き、さらに一つひとつ手にとって埃を払って拭くのは大変な手間ですよ。

地震のことを考えて

もうすでに「見せる収納」をやる気マンマンだった人もここまで読んで気持ちが萎えてきているかもしれません。でも、実は「見せる収納」の最大の問題点はこれからです。

それは、地震です。

日本に住んでいる以上、私たちは誰一人として地震から完全に安全ということはありえません。地震の時、むき出しで物を置いておくとどうなるかは想像つきますよね、それほど大きくない地震でもあなたの家だけ大惨事になる可能性だってあるんです。

実際、とある実におしゃれな生活をしていたデザイナーは、SOHOの自分のオフィスを撮影スタジオとして使えるくらい美しく「見せる収納」でデコレーションしていました。ところがこの部屋が東日本大震災の際、地盤の弱い埋立地だったせいか大変なことになりました。

高価なデザインの本や写真集と手作りのハーブオイルやアロマオイル、趣味のクリスタル、鉢植えの植物の土、これらが全部一緒になって「降ってきた」のだそうです。当然オイルや土にまみれた書籍類は廃棄、ご自慢の家具の多くも再起不能になってしまいました。

彼女は「もう絶望感のあまり部屋ごとざらっと斜めにして全部ゴミにして捨てたかった。二度と『見せる収納』はしない」と言っていましたが、痛い目にあってからでは遅いですよね。

見せる収納は上手に使う

見せる収納の落とし穴をいろいろと書いてきましたが、見せる収納は別に悪いことだらけではありません。上手に取り入れることで、一つの家具を何通りにも使い分けたり、狭い部屋を広く使うことだってできます。

ワンルームで寝る場所、食べる場所、仕事や勉強をする場所が全部一緒になっていて生活にメリハリがなく、なんとなくだらしない感じになっていや、という人も多いと思います。そういう場合にはたとえばベッドと机の間に低めのワイヤーラックを間仕切りとして置いてみましょう。

狭い部屋の場合、かっちりとした収納家具を部屋の真ん中に置いてしまうと、その存在感が大きすぎて視線がそこでブロックされてしまうため、一気に息苦しくなってしまいますが、ワイヤーラックやナチュラル系が好きな人なら、籐や竹製の抜け感のある家具なら、圧迫感を感じさせません。

当然そういう棚には見せる収納を意識しましょう。この収納方法の優れているところは、机側とベッド側、両方からアクセスできるため、机で勉強をしている時には補助の作業台として、ベッドに寝ている時はライトを置いたりしてベッドサイドテーブルとして、などと、一つの家具なのに二つの使い方ができるところです。

ただし、地震のことを考えて倒れても怪我をしない程度の高さで、置く物も万一落ちてきても大丈夫な軽い物にしてください。せっかくの「見せる収納」なのだから間違ってもぎちぎちに物を置いてはいけませんよ。

現実的に考えると、見せる収納は落ちても壊れない物や軽い物に限り、その他はきちんと扉がある場所や箱の中などにしまっておくほうが、日本で暮らすのにはあっているのかもしれません。

まとめ

ここまで書いてきてもうお分かりだと思いますが、「見せる収納」に向いている人は、持ち物の少ない人です。拭き掃除をするのでも、物が少なければさっとどかせて拭き掃除できますし、物が少なくローテーションが早ければ埃もたまらないでしょう。

そういう人なら「見せる収納」を「魅せる収納」にすることが可能だと思います。

でも、なんでもかんでも溜め込んでしまうタイプや、なかなか物が捨てられない人、本や道具など、どうしてもグッズが必要な趣味がある人は、「見せる収納」をやっているつもりが、他人から見ればただの汚部屋になるかもしれないということは覚えておいてくださいね。