今や水道、電気、ガスと並んでなくてはならないライフラインになっているのが、電話やネットなどの通信環境です。あって当たり前、一日でもないと困りますよね。当然、引越した当日から利用したいですが、そのためにはどのような手続きが必要なのか、見ていきましょう。
まずは自分の通信環境を確認
最初に必要な作業は現在進行形で利用している通信環境の確認です。電話とインターネット、回線の種類によってそのままルーターなどの機器類だけを持って行ってつないでしまえば利用できるものと、手続きを踏まなければならないものがあります。
放置すると後から思いがけない料金の請求が来る場合もあるので、必ず確認しましょう。
インターネットの固定回線
インターネット回線を引っ張ってきているといっても、全て同じ会社が提供しているわけではないので、どこの会社と契約しているかを知ることが大切です。
固定回線には以下のような種類があり、さらにそれぞれ何種類かの会社が運用しています。
光回線
最近の主流で、回線速度が他の回線に比べて速いのが特徴です。インターネットにプラスして、テレビや固定電話を契約することができます。テレビには地デジ/BS/CSの契約も絡んでいる場合があります。
CATV(ケーブルテレビ)
地域のローカルテレビ会社が提供しているインターネット回線で、光回線の敷設ができていない地域で利用されていることが多いです。こちらは光回線とは異なり、テレビだけ、インターネットだけ、電話だけなど、単体で契約できます。
ADSL
一般的に基地局に近いほど回線速度が速く、基地局から自宅までが1km圏内なら比較的速い速度が出ます。
ただし、光回線とは異なり、線が地下を通っているため、電車が通るとインターネットが使えなくなるといったような現象に見舞われる場合、ADSLで申し込んでいる可能性が高いです。
ダイヤルアップ
今ではもう、ほとんどお目にかかることのない昔懐かしいインターネット回線で、料金は従量制です。
電話の線をそのままインターネット回線として使うため、インターネットに繋いでいる間は電話が利用できません。ごくまれに、お年を召した方がこの方法でインターネットを楽しんでいる場合があります。
プロバイダこそ忘れないで!
回線をどこで契約しているかわかったからといって安心するのは少し待ってください。インターネット回線についてあまり知らない人が忘れがちなのがプロバイダの確認です。
固定回線でインターネットを使う場合、別途プロバイダの契約は必須です。つまり、今インターネットが利用できているのなら、確実にどこかのプロバイダと契約を結んでいます。
プロバイダには、OCNやSo-net、BIGLOBEなど、様々な会社があり、プロバイダ単体で契約している場合もあれば、固定回線とセットで契約している場合もあります。いずれにしても、契約書を確認して問い合わせ先を把握しておきましょう。
固定電話
インターネットの回線業者が独自に展開している固定電話もありますが、主要な固定電話は以下の4つに分類されます。移転に際しては、契約先の各会社に連絡することで手続きができます。
また、NTTの電話加入権があるかないかが、番号をそのまま持っていけるかどうかに大きくかかわります。
NTT
NTTから電話加入権を買って使用している固定電話のことです。加入権の購入無しでは契約できないので、NTTで固定電話のみを契約している場合は加入権を持っています。
KDDI(メタルプラス電話)
NTTと同じく、固定電話を個別でKDDIと契約しているものです。
ケーブルテレビ(ケーブルプラス電話)
各種ケーブルテレビの会社がKDDIと提携して提供しているものです。電話単独での申し込みが可能なので、テレビやインターネットを利用していなくてもケーブルで申し込んでいる場合があります。
ひかり電話
光回線各社が提供しているものです。こちらはケーブルプラス電話とは異なり、インターネットのオプションとして申し込むため、インターネット環境がない場合、ひかり電話ではなく、他の3つのいずれかである可能性が高いです。
引越し先でそのままで利用できるもの
さて、自分の通信環境が把握できたところで、いよいよ手続きです。基本的にauやドコモ、ソフトバンクなどと契約して持ち運びができる端末は特別な手続きの必要がなく、住所変更など、簡単な登録情報の変更だけで継続利用できます。
ただし、重要なお知らせの手紙などが来なくなると困るので、登録情報の変更は絶対忘れないようにしてください。
携帯電話、スマートフォン
電話本体に電波塔からの電波を受信する機能が備わっているので、どこに持って行っても圏外でなければ利用できます。
モバイルルーター、データカード
携帯電話会社などが流している電波を使い、インターネットのみの利用に特化した持ち運び端末です。電波塔の電波をWi-Fiに変換したり、USB端子で直接接続してパソコンやスマートフォン、タブレットなどをインターネッに接続します。
SoftBank Air
少し特殊なのが、ソフトバンクから提供されているこの端末です。基本的にはモバイルルーターと同じような仕組みで動きますが、モバイルルーターは充電式で持ち運んで使用するのに対し、こちらは家のコンセントに差した状態で使用します。
引越し先でもコンセントに差せば使えるはずですが、ソフトバンクが公表している使用可能エリアが非常に狭いため、すでに持っている場合は引越し前にカスタマーセンターに電話して使用可能かどうか、確認しておいた方がよいでしょう。
SoftBank Airは端末在庫がお店にあれば即日開通が可能なので、固定回線の用意が間に合わず、インターネット環境がどうしてもすぐに必要という場合は非常に便利です。その代わり、携帯電話などと同じように、本体代金の分割や2年間の契約期間などがついてくるので、きちんと条件を確認してから購入しましょう。
手続きをしないとそのまま利用できないもの
インターネットや電話を固定の回線で家に引いている場合、そのままでは引越し先で利用することができません。契約先に連絡して手続きをしないと、引越し先でインターネット環境や固定電話が用意できず、困ってしまいます。
固定電話の移転方法
固定電話を移転させるためには、電話を契約している各会社に連絡を入れ、手続きをとります。インターネット回線のオプションとして申し込んでいる場合は、インターネット回線の移設とともに相談するのがスムーズです。
その時気になるのが電話番号を継続して利用できるかどうかですが、その継続して使用する手続きを、電話番号ポータビリティといいます。
移転するにあたって、電話番号はそのまま引き継げる場合と引き継げない場合があります。後述する新規申し込みをする際にもいえることなので同時に新番発行したものは高確率で変更になります。
どちらの会社で契約していても、昔から使っている番号だという場合、持っていけるかもしれないので、まずはNTT(固定電話から局番なしの116、もしくは、携帯電話から0120-116000)に加入権の有無を確認しましょう。
加入権がある場合
加入権を持っていて、かつ管轄しているNTTの収容局が変わらなければ同じ番号を使えます。収容局は市外に出ることがなくても管轄が変わる場合があるので、こちらもNTTに確認が必要です。引越し先でひかり電話など、別の業者で今使っている番号を使用する場合は、NTT側で加入権の休止手続きが必要になります。
加入権がない場合
残念ながら今使用中の電話番号を継続して使用することはできません。新しい番号を発行することになります。
インターネット回線
固定回線を利用してインターネットをしていた場合、移転手続きをとるか、解約して新しく契約するかのどちらかを選ぶ必要があります。メールアドレスなどの環境を変えたくない場合は移転、特に会社にこだわりはなく、キャッシュバックなどの特典を受け取りたい場合は新規での申し込みがよいでしょう。
移転でこれまでと同じ契約を継続する場合
回線やプロバイダの契約をそのまま引越し先に持っていく方法です。必ず現在契約している固定回線の会社とプロバイダの会社、両方に連絡を入れましょう。その際、契約者名やカスタマーIDなどの情報が必要になるので、契約書を手元においてから電話しましょう。
ただし、引越し先でサービスの提供が行われていない場合は移転が不可能なので、他会社で新規申し込みをしなくてはいけません。ローカルのテレビ局が提供しているCATVは特に移転できない可能性が高いので、早めに動いておくのが得策です。
新規で新たに申し込む場合
現在利用している契約を解約して、新たにインターネット回線を申し込む方法です。家電量販店で申し込む場合は、各店舗ごとに独自のキャッシュバックがあるため、負担する初期費用がオトクになります。少し大きめの家電量販店に行くと、各会社の販売員がそろっているので、いろいろ比較できます。
ただし、キャッシュバックをもらう条件にいろいろなオプションへの加入が必要な場合が多いため、販売員の説明は注意して聞くようにしましょう。
気をつけたいのは、現在契約している回線の解約金です。割引を効かせるために一定期間の継続利用が条件となっており、解約すると違約金を請求される場合があります。キャッシュバック金額と解約金の差額を計算して決めましょう。
すぐ使いたい場合はどんなに遅くても引越し日の1か月前には申し込む
移転申し込みと新規申し込み、どちらの場合も住人立ち会いのもと、回線の開通工事が必要です。工事が終わるとすぐにインターネットが使える環境になりますが、申し込みしてから工事日までには1か月程かかります。
申し込み日が遅れると工事日までインターネット無しで生活する事になってしまうので、引越し先が決まったらなるべく早めに申し込みをしましょう。
また、パソコンのインターネット接続設定ができない人は、家に来て設定を代行してくれるサービスを提供している会社もあるので申し込み時に尋ねてみましょう。
一度開通させてしまえばあまり意識することのないインターネット回線ですが、いざ引越しとなるとよくわからないことが多く、戸惑ってしまいます。
移転や新規申し込みを検討する際には、回線とプロバイダの2つの契約があることを頭に入れておくだけでも販売員の説明への理解度が高まりますよ。